
子育て世代にとって、家族構成の変化に合わせて車を買い替えることは珍しくありません。しかし、現在の車にローンが残っている場合、売却できるのか不安に感じる方は多くいます。この記事では、ローンが残っている車を売る手順や高く売るコツ、注意点などを解説します。
記事を読めば、ローン残債がある車を適切に売却し、家族のニーズに合った車に乗り換えが可能です。
ローンが残っている車を売る前に知っておきたい基礎知識

ローンが残っている車を売る前に知っておきたい基礎知識として、以下のポイントを解説します。
- ローンが残っている車でも売れる理由
- 車の所有権を確認する方法
ローンが残っている車でも売れる理由
車のローンを組むと所有権はローン会社(信販会社)に設定されますが、使用権は購入者にあります。所有権者の承諾を得られれば、ローン完済前でも車の売却が可能です。売却するときに買取業者がローン会社と直接やり取りし、残債を代わりに支払うケースが一般的です。
車の査定額が残債より高ければ差額が支払われ、低ければ不足分を支払います。
車の所有権を確認する方法
ローンが残っている車を売却する際は車の所有権の確認が重要です。所有権の有無によって売却手続きが異なるため、事前に確認しましょう。車の所有権は自動車検査証(車検証)の所有者名義欄で確認できます。
ローン契約書にも所有権が記載されているので確認できます。所有権が不明な場合は、ローンを組んだ販売店やローン会社に問い合わせましょう。所有権がローン会社にある場合は、売却時に所有権解除の手続きが求められます。
ローンが残っている車を売る手順

ローンが残っている車を売る手順は以下のとおりです。
- ローン残高を確認する
- 買取業者に査定を依頼する
- 車の名義変更を行う
ローン残高を確認する
売却前に現在のローン残高を把握しましょう。ローンの残債額がわかれば、売却後の資金計画が立てられます。ローン残高はローン会社の請求書で確認できます。正確な金額についてはローン会社に直接問い合わせると確実です。
以下の情報もローン残高と併せて確認しておくと安心です。
- 完済予定日
- 一括返済時の手数料や違約金
- 完済手続きに必要な書類
- 所有権解除費用
買取業者に査定を依頼する

売却前に複数の買取業者に査定を依頼しましょう。査定は無料の業者が多いので、最低でも3社以上への依頼をおすすめします。査定依頼の際はローンが残っていることを正直に伝えましょう。多くの買取業者はローン残債のある車の買取に慣れているため、適切な対応をしてくれます。
査定はオンライン査定と実車査定の両方を活用すると効果的です。オンライン査定で大まかな相場を把握した後、有望な業者に実車査定を依頼する流れが一般的です。査定を依頼する前に、以下の書類を準備しておくと手続きをスムーズに進められます。
- 車検証
- 自賠責保険証
- 自動車税納税証明書
車の査定額がローン残債より高ければ差額が手元に入りますが、低い場合は不足分を自己負担します。買取業者によってはローン残債の立替払いに対応している業者もあるため、事前に確認しておくと安心です。小さな子どもがいる家庭では、手続きの負担を減らせる業者を選びましょう。
査定の前日には洗車や車内清掃をしておくと好印象です。子ども用チャイルドシートなど不要な付属品は事前に取り外しておくと、査定額アップにつながる場合もあります。査定額に不満がある場合は、遠慮なく交渉しましょう。他社の査定額を伝えると、金額アップの可能性があります。
車の名義変更を行う
買取業者が決まったら、車の名義変更手続きをします。所有権がローン会社にある場合、所有権解除の手続きが必要です。一般的には買取業者がローン会社に残債を直接支払い、所有権を解除した後に名義変更します。
名義変更に必要な書類は以下のとおりです。
- 自動車検査証
- 自賠責保険証
- 印鑑証明書
- 実印
- 譲渡証明書
- 所有権解除書
所有権解除にはローン会社発行の「所有権解除書」も必要です。多くの場合は買取業者が手続きを代行してくれますが、事前に必要書類と手続きの流れを確認しましょう。
» 車の売却に必要な書類を解説!
ローンが残っている車の残債の支払い方法

ローンが残っている車の残債の支払い方法は以下のとおりです。
- 現金で一括返済する
- 新たにローンを組む
- 新しく買う車のローンに上乗せする
現金で一括返済する
ローン残債を現金一括返済する方法は、残債が少ない場合や十分な貯蓄がある場合におすすめです。一括返済すると今後の利息分を支払わなくて済むため、トータルコストが最も安くなります。現金で一括返済するメリットはローンが完済されるため、所有権がすぐに解除され、売却手続きがスムーズに進むことです。
現金一括返済の手続きはローン会社に連絡して完済金額を確認し、指定された口座に振り込むか直接窓口で支払います。ローン残債の支払い後は「完済証明書」や「所有権解除書」をローン会社に発行してもらいましょう。
新たにローンを組む

手元に十分な現金がない場合は、銀行やローン会社で新たなローンを組んで残債を返済する方法もあります。新たにローンを組む場合は自動車ローンではなく、目的自由な「フリーローン」や「おまとめローン」を利用することになります。新たにローンを組む方法のメリットは、現金が不要で月々の返済額を調整できることです。
現在のローンよりも金利が低いローンに借り換えられれば、総支払い額を減らせる可能性もあります。ただし、新たなローンを組むには審査があり、信用情報や収入によっては審査に通らない場合もあります。手数料や新たな金利負担が発生するため、新たなローンのトータルコストは一括返済より高くなる点に注意が必要です。
新しく買う車のローンに上乗せする
車を買い替える予定がある場合、新しい車のローンに残債を上乗せする方法もあります。上乗せは「残債上乗せ」や「マイナス査定」と呼ばれます。ローンを上乗せするメリットは現金がなくても車を買い替えられる点と、ローンの管理が楽になる点です。ディーラーで新車を購入する場合にローンの上乗せが利用されます。
» 車の買い替え時期はいつがいい?手順や注意点について詳しく解説
ただし、ローンの上乗せは総額が大きくなるため、金利負担が増えたり返済期間が長くなったりする点に注意が必要です。現在の車に多額の残債がある場合、新しいローンの審査に通りにくくなる可能性もあります。ローンを上乗せする場合も複数の業者に見積もりを取り、金利や返済条件を比較検討しましょう。
ローンが残っている車を高く売るコツ

ローンが残っている車を高く売るコツは以下のとおりです。
- 車をきれいに保つ
- 純正パーツを用意する
- 売却のタイミングを見極める
- 複数の買取業者に査定を依頼する
車をきれいに保つ
車を高く売るための基本は、きれいに保つことです。ローンの有無にかかわらず、車の外装や内装の状態は査定額に大きく影響します。車の外装は洗車して汚れを落とし、小さな傷や凹みは可能であれば修理しましょう。修理費用が査定アップ額を上回る場合は、修理せずに査定に出す方が経済的です。
車の内装は掃除機をかけ、シートの汚れを落とし、消臭するだけでも印象が変わります。タバコのにおいやペットの毛、食べこぼしなどは査定額を下げる要因になるので注意しましょう。車内に不要な荷物を積みっぱなしにせず、きれいにした状態で査定を受けることも大切です。
純正パーツを用意する
車を改造している場合は購入時の純正パーツに戻しておくと、査定額がアップする可能性があります。改造箇所が多ければ多いほど、車の買取価格は下がる傾向です。車のマフラーやホイール、ナビゲーションシステムなど、取り外し可能な部品は純正品に戻しましょう。
ただし、人気のある高級社外パーツや需要の高いカスタム内容の場合は、高く評価されるケースもあります。車の査定前に買取業者に相談しましょう。
売却のタイミングを見極める

車の売却タイミングも査定額に影響します。適切なタイミングで売却すれば、良い条件で取引できる可能性が高まります。車の売却に最適なタイミングは以下のとおりです。
- 子どもの成長に合わせた時期
- 車検や税金の更新時期の1〜2か月前
- 新型モデルの発売前
- 走行距離が10万キロに達する前
- 季節需要を考慮した時期
- 決算期(3月、9月)
- 年式が5年を超える前
- 大きな修理が必要になる前
車齢が10年を超えると査定額が大きく下がる傾向があるため、10年以内での売却検討も1つの目安です。ローンが残っている場合は残債と査定額のバランスも考慮して、最適な売却タイミングを見極めましょう。
複数の買取業者に査定を依頼する
複数の買取業者への査定依頼は車を高く売るために効果的です。買取業者ごとに得意な車種や在庫状況が異なるため、査定額にも差が出ます。査定は最低でも3社以上への依頼をおすすめします。複数の買取業者に依頼する際は、1度の申し込みで複数の業者から査定を受けられる一括査定サービスが便利です。
» 車一括査定はやめたほうがいいと言われる理由を解説
買取業者に査定を依頼する際はローンが残っていることを事前に伝えましょう。ローン完済後の手続きや、残債が査定額を上回る場合の対応なども確認しておくと安心です。複数の査定額を比較すれば、価格交渉の余地が生まれます。最初の査定額で即決せず、他社の査定額を伝えて金額アップを交渉しましょう。
» 車を高く売るコツと準備することを解説!
ローンが残っている車を売る際の注意点

ローンが残っている車を売る際の注意点は以下のとおりです。
- 返済計画を立てる
- 契約内容を確認する
- 名義変更に必要な書類を用意する
返済計画を立てる
ローンが残っている車を売る際は返済計画が重要です。査定額がローン残債より少ない場合は、不足分を工面する方法を事前に考えておく必要があります。ローンの返済計画を立てる際のポイントは以下のとおりです。
- 現在の貯蓄状況を確認する
- 一括返済が難しい場合は分割返済の可能性を検討する
- 新しい車の購入費用も含めて計画を立てる
- 急な出費に備えて余裕をもった計画にする
ローン会社によっては中途解約手数料がかかる場合もあるため、事前に確認しておくことも大切です。ローンの返済計画が立てられない場合は、売却を先に延ばして貯蓄を増やすか、他の選択肢を検討しましょう。返済計画が複雑な場合はファイナンシャルプランナーなどの専門家への相談もおすすめです。
契約内容を確認する

車を売却する際のトラブルを防ぐためには、ローン契約書の内容確認が重要です。契約書には売却に関する重要な条件が記載されているので、以下の項目に目を通しましょう。
- 中途解約に関する条項
- 繰り上げ返済時の手数料や違約金
- 事前承認の必要性
- 残債と査定額の差額対処
- 担保設定の解除条件
- 返済方法の選択肢
- 契約時の特約事項
- 連帯保証人に関する条項
- 売却後の名義変更期限
一部のローン契約では、完済前の売却に制限がある場合や特別な手続きが必要な場合があります。契約書を確認し、不明点はローン会社に直接問い合わせてください。ボーナス払いを含むローンの場合は一括返済額の計算が複雑な場合があるため、正確な金額をローン会社に確認しましょう。
名義変更に必要な書類を用意する
車の売却時には名義変更が必要になり、ローンが残っている場合は通常より多くの書類が求められます。主な必要書類は以下のとおりです。
- 自動車検査証
- 自賠責保険証明書
- 印鑑登録証明書(発行後3か月以内)
- 譲渡証明書
- 委任状(買取業者に手続きを依頼する場合)
- ローン完済証明書または所有権解除書(ローン会社から発行)
名義変更に必要な所有権解除書は、ローン完済後にローン会社から発行される書類です。書類の発行までに数日かかる場合もあるため、余裕をもって手続きを進めましょう。買取業者によっては名義変更を代行してくれるサービスもあります。名義変更に必要書類は自分でも把握しておくと安心です。
ローンが残っている車を売る際によくある質問

ローンが残っている車を売る際によくある以下の質問に回答します。
- ローンが残っている車を売却するかどうかの判断基準は?
- ローン会社に承諾を得る方法は?
- ローンが残っている車は乗り換えできる?
ローンが残っている車を売却するかどうかの判断基準は?
ローンが残っている車を売却するかどうかの判断基準は、以下のポイントを考慮しましょう。
- 市場価値とローン残高の差額
- 月々の支払い額と家計への影響
- 家族増加による車の必要性
- 維持費と修理費用の見込み
- 売却時期の市場状況
- 代替交通手段の有無
総合的に判断して自分の状況に最適な選択をしてください。車の売却の判断に迷う場合はファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しましょう。
ローン会社に承諾を得る方法は?

ローン会社から承諾を得るには売却の意向と理由を明確に伝えましょう。査定額がローン残債より高い場合や不足分を一括で支払える場合は、承諾を得やすいと考えられます。売却の承諾を得る際には、ローン契約者本人による手続きが必要です。
電話での問い合わせの場合は、本人確認のために契約番号や個人情報の提示を求められるケースが一般的です。ローン会社の承諾を得るまでに1週間〜10日程度かかるので、余裕をもって手続きを進めましょう。
ローンが残っている車は乗り換えできる?
ローンが残っている車でも乗り換えは可能です。家族が増えるタイミングでは車のサイズアップを検討する方も多くいます。残債がある車の乗り換え方法にはいくつかの選択肢があります。ローンがある車の乗り換えで最も一般的なのは下取りです。
» 車の下取りについて詳しく解説!
下取りはディーラーが残債を処理するため、新車代金と相殺できて手続きも簡単です。買取業者を利用する場合は、査定額がローン残債より高ければ差額を受け取れます。ローン残債が100万円で査定額が120万円なら、20万円が手元に残ります。ただし、ローン残債が査定額を上回る場合は、差額の自己負担が必要です。
まとめ

ローンが残っている車を売ることは可能です。車の売却前に所有権の確認とローン残高の把握から始めましょう。ローンが残っている車を高く売るためには、複数の買取業者への査定依頼が大切です。車の売却前には返済計画を立てて契約内容を確認し、必要書類を準備しましょう。