
子育て世帯にとって、家計の見直しや車の買い替えは大きな決断です。生活環境の変化に応じて車の売却を検討することもありますが、売却手続きの準備に戸惑う方も多いのが現状です。この記事では、普通自動車と軽自動車の売却時に必要な書類について解説します。
記事を読めば、車の売却に必要な手続きをスムーズに進めるためのポイントがわかります。正しい知識を身に付けて、納得のいく売却を実現しましょう。
普通自動車の売却に必要な書類

普通自動車を売却する際に必要な書類は、以下のとおりです。
- 自動車検査証(車検証)
- 自賠責保険証明書
- 自動車リサイクル券
- 自動車税納税証明書
- 実印・印鑑登録証明書
- 委任状・譲渡証明書
自動車検査証(車検証)
自動車検査証とは車の公的な身分証明書で「車検証」と呼ばれます。車を売却する際には、車検証の原本が必要です。車検証に記載される情報は、以下のとおりです。
- 車台番号
- 登録番号
- 所有者情報
- 車両の諸元
車検証を紛失した場合でも、運輸支局で再発行の手続きが可能です。車検証に記載された住所と現在の住所が異なる場合は、再発行前に住所変更の手続きが必要です。有効期限が切れていても、車検証があれば売却手続きは進められます。車検証は通常、車内のグローブボックスなどに保管されています。
車検証の情報は国のデータベースに登録されており、改ざんはできません。
自賠責保険証明書
自賠責保険証明書は、自動車損害賠償責任保険に加入していることを証明する書類です。「継続証明書」と「保険証明書」の2種類がありますが、どちらも売却手続きに使用できます。自賠責保険証明書は、有効期限が切れていないか確認しましょう。
自賠責保険証明書を紛失した場合は、加入している保険会社や代理店で再発行が可能です。再発行には手数料がかかることがあります。自賠責保険証明書のコピーは無効です。車の売却時は自賠責保険証明書の原本を提出してください。
車の売却時に保険期間が残っていれば、保険料の一部が返金されることもあります。
自動車リサイクル券

自動車リサイクル券は、使用済み自動車を適正に処理するための費用を支払ったことを証明する書類です。2005年1月以降に購入した車は、購入時にリサイクル料金を支払う仕組みとなっています。リサイクル料金は廃車時に使用され、売却時には未使用分が買取価格に反映されることが一般的です。
自動車リサイクル券には「預託証明書」と「料金払渡請求書」の2種類があります。自動車リサイクル券を紛失しても「自動車リサイクルシステム」公式サイトから情報を確認・再発行できます。自動車リサイクル券がない場合、買取額が減額される恐れがあるため注意が必要です。
業者に車を売却する際は、リサイクル料金に関する手続きを代行してもらえるのが一般的です。個人間の売買では、所有者変更とともにリサイクル料金の権利移転手続きが必要となります。
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自動車税納税証明書
自動車税納税証明書は、車の名義変更の際に必要となる重要な書類です。自動車税納税証明書は、対象年度の自動車税が納付済みであることを証明します。普通自動車の場合は、毎年5月頃に納付書とともに送付されるため、紛失しないよう大切に保管しましょう。
自動車税納税証明書を紛失した場合でも、地域の県税事務所や自動車税事務所で再発行が可能です。自動車税納税証明書がないと車の買取額が減額される可能性があるため、事前の確認と準備が大切です。
実印・印鑑登録証明書

実印と印鑑登録証明書は、普通自動車を売却する際に重要です。実印とは、市区町村に登録された印鑑で、法的な効力を持ちます。印鑑登録証明書は、実印が本人のものであることを証明する公的な書類です。車の売却手続きでは、以下の場面で実印と印鑑登録証明書が必要です。
- 売買契約書への押印
- 譲渡証明書への押印
- 名義変更の手続き
印鑑登録証明書は、住所地の市区町村役所で申請できます。マイナンバーカードがあれば、コンビニでの取得も可能です。ただし、発行から3か月以内のものが必要なため、売却直前に取得しましょう。ローン完済後の車を売却する際は、本人の実印と印鑑登録証明書が必要です。
未成年者が所有者の場合、親権者の実印と印鑑登録証明書を用意してください。申請は原則本人が行いますが、やむを得ない場合は委任状の提出で代理人による申請も可能です。
委任状・譲渡証明書
委任状と譲渡証明書は、車の売却手続きにおいて欠かせない書類です。委任状は、売却に関する手続きを第三者(主に車の買取業者)に委任することを示す書類で、実印の押印が必要です。譲渡証明書は、車の所有権が正式に移転されたことを証明する書類で、実印の押印と印鑑登録証明書の添付が求められます。
委任状や譲渡証明書は、車の買取業者側が準備してくれます。記入ミスをした場合は、二重線で訂正し、訂正印を押すのが適切な対応です。委任状には、車を売却する「委任者」と手続きを行う「受任者」の情報および押印が必要です。譲渡証明書には、譲渡日や譲渡人・譲受人の情報を正確に記載します。
委任状と譲渡証明書は、売却日から1か月以内に提出しましょう。
軽自動車の売却にのみ必要な書類

軽自動車の売却には、普通自動車と同様に「自動車検査証(車検証)」と「自賠責保険証明書」「自動車リサイクル券」が必要です。軽自動車の売却にのみ必要となる書類は以下のとおりです。
- 軽自動車税納税証明書
- 認印
- 申請依頼書
軽自動車税納税証明書
軽自動車税納税証明書は、対象年度の軽自動車税を納付済みであることを証明する公的な書類です。毎年5月頃に納税通知書とともに自宅に届きます。軽自動車税納税証明書は単なる領収書ではなく、軽自動車の名義変更など手続きの際に必要となる重要な書類です。
軽自動車税納税証明書を紛失した場合は、住所地の市区町村役場・税務課で再発行が可能です。軽自動車税納税証明書の再発行時には、本人確認書類と車検証、印鑑を持参してください。多くの自治体では無料で発行できますが、一部では手数料が発生する場合もあります。
軽自動車税納税証明書には有効期限があり、発行年度の翌年5月31日までとされています。有効期限を過ぎている場合は、新たに発行された軽自動車税納税証明書が必要です。軽自動車税は毎年4月1日時点の所有者に対して課税されるため、年度途中で車を売却しても税金の還付はありません。
車の売却手続きの際には、軽自動車税納税証明書の原本を忘れずに準備しましょう。
認印

軽自動車の売却には、申請依頼書や譲渡証明書などに押印する認印が必要です。普通自動車と異なり、軽自動車の売却では実印や印鑑証明書は基本的に必要ありません。ただし、認印は以下の点に注意して用意しましょう。
- 朱肉を使用するもの
- 摩耗や欠けがないもの
- 鮮明に押印できるもの
不鮮明な印影だと手続きがスムーズに進まない可能性があります。事前に印鑑の状態を確認すると安心です。車の買取業者によっては、認印ではなく実印を求められるケースもあります。
申請依頼書
申請依頼書は軽自動車検査協会に提出する重要な書類で、車両の登録抹消などの手続きに使用されます。申請依頼書には、以下の情報を記入する必要があります。
- 申請者の氏名と住所、連絡先
- 車両の情報
- 申請の目的
車両の登録抹消などの手続きは、通常は車の買取業者や販売店が代行します。自分で行う場合は軽自動車検査協会の公式ウェブサイトから申請依頼書をダウンロードし、必要書類とともに提出します。
特殊なケースでの車の売却に必要な書類

車を売却する際には、状況によっては追加の書類が求められる場合があります。該当するケースは以下のとおりです。
- 住所変更がある場合
- 姓が変わっている場合
- 名義が異なる場合
住所変更がある場合
車検証に記載されている住所と現在の住所が異なる場合、車を売却する前に住所変更の手続きが必要です。手続きをしないまま売却すると、買取額が下がる可能性があります。住所変更の手続きには、発行から3か月以内の住民票が必要です。住民票と印鑑証明書は、いずれも現在の住所と一致している必要があります。
住所が変更されている場合は、自動車税納税証明書の内容もあわせて確認しましょう。
姓が変わっている場合

車検証の名義(姓)と現在の姓が異なる場合は、発行から3か月以内の戸籍謄本や戸籍抄本の提出が必要です。戸籍謄本や戸籍抄本は、住所のある市区町村の役場で取得できます。マイナンバーカードがある場合は、自宅からオンラインでの取得も可能です。姓と住所を同時に変更する場合は、両方の証明書が必要です。
名義が異なる場合
車の名義人と実際の使用者が異なる場合、基本的に以下の書類が追加で必要です。
- 名義人の実印
- 名義人の印鑑証明書
- 名義人による委任状
名義人が遠方に住んでいる場合は書類のやり取りに時間がかかるため、早めに連絡を取るなどの準備をしましょう。名義人が亡くなっている場合は、初めに相続手続きを行う必要があります。ローンを返済中の車は、完済して名義変更しないと売却できません。
法人名義の車を売却する場合は、法人の実印と印鑑証明書、代表者印を押した委任状が必要です。
車の売却に用意しておくと良いもの

車を売却する際には、以下を用意すると手続きがスムーズになります。
- メンテナンスノート
- 保証書
- 取扱説明書
- 純正オプション
- スペアキー
メンテナンスノート
メンテナンスノートは車の売却に必須ではありませんが、査定額のアップにつながる重要な書類です。メンテナンスノートには車の修理や点検の履歴が記録されており、適切なメンテナンスが行われてきたことを示す証明になります。信頼性の高い記録として評価されるため、以下のポイントを確認しましょう。
- 純正ディーラーで整備を受けた記録があること
- 記入欄に抜け漏れがないこと
- 購入時から継続して記録が記載されていること
メンテナンスノートを紛失してしまった場合は、整備工場やディーラーに問い合わせると履歴が確認できる場合もあります。車の売却前には最新の整備記録まで更新すると、より良い印象を与えられます。メンテナンスノートが電子化されている場合は、プリントアウトして準備すると便利です。
保証書
保証書は、車の修理履歴や保証内容を証明するために重要な書類です。売却時には、査定員が保証書の内容から車の管理状況を確認することが多く、丁寧に保管すると好印象を与えられます。保証書に記載される情報は以下のとおりです。
- 車種と型式
- 製造番号
- 販売店名
- 購入日
- 保証内容と期間
新車購入時の保証期間が残っている場合、保証は次の所有者に引き継がれます。売却価格の上昇につながる可能性もあるため、保証書は重要です。保証書を紛失した場合は、ディーラーや正規販売店で再発行できる場合があります。中古車を売却する際は、前オーナーから保証書を受け取っているか確認しましょう。
取扱説明書

取扱説明書は、売却時に用意すると査定額アップにつながる重要なアイテムです。取扱説明書の価値は車種によって異なります。高級車や輸入車では、取扱説明書の有無で査定額が大きく変わることもあります。複数言語対応の取扱説明書は価値が高くなるのが特徴です。
クイックマニュアルやナビゲーションの操作ガイドなどの確認もしましょう。取扱説明書を紛失した場合は、ディーラーや販売店に相談するのがおすすめです。メーカーのウェブサイトから電子版の取扱説明書をダウンロードできる場合もあります。
純正オプション
純正オプションとは、自動車メーカーが正規に提供している追加装備のことです。車の売却時に純正オプションを渡すことで、買取価格がアップする可能性があります。車の純正オプションは、以下のとおりです。
- ナビゲーションシステム
- 高性能オーディオ機器
- フロアマット
- ルーフキャリア
- ルーフボックス
- スキーキャリア
後付けの純正オプションがある場合は、購入時の領収書や証明書を用意しましょう。純正ホイールやタイヤを交換している場合は、元の部品が手元にあるか確認することも大切です。純正オプションの設定情報や初期化方法に関する資料があれば、併せて準備すると安心です。
スペアキー
スペアキーは、車の売却時に買取価格へ影響を与える重要な付属品です。スペアキーを紛失した場合、査定額が5,000〜10,000円ほど下がることがあります。スマートキーは再発行費用が20,000〜50,000円と高額なため、価格への影響が大きくなります。
売却前には、すべてのキーの所在と動作を確認しましょう。電池切れの場合は交換すると安心です。キーケースやカバーも整備されていれば、印象がさらに良くなります。売却時には、所有しているすべてのキーをそろえて引き渡すことが望ましいとされます。
まとめ

車を売却する際は、必要書類を正確にそろえることが重要です。普通自動車と軽自動車では、共通して車検証や自賠責保険証明書、自動車リサイクル券の提出が求められます。住所や姓の変更がある場合や名義人が異なる場合には、別途書類の提出が必要です。
売却価格を少しでも高めたい場合は、メンテナンスノートや保証書、取扱説明書などの付属書類を用意するのがおすすめです。
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